財産というと何が思い浮かぶでしょうか。
預貯金、土地、家屋、有価証券などがまず思い浮かびますが、思いがけず忘れていた預貯金や、把握していなかった負債なども『財産』に含まれます。
もしものために、いつかのために、家族の財産の確認をしておくと、未来の不安が、少し減るかもしれません。
財産調査について
「財産調査」とは故人あるいは自分の財産がどのくらいあるのかを調査することです。
財産調査は相続が発生した時だけではなく、遺言書を作成する際にも必要になります。
この場合の財産には、預金や、不動産、有価証券、投資信託といったプラスのものだけではなく、負債やローンなどのマイナスのものも含まれるため、見落としがないように調査することが必要です。
そのため、元気なうちに財産を把握したい、という方は当事業所に一度ご相談ください。
財産調査を正確に行わなければいけない理由として、下記の3点があげられます。
①相続税の納付義務があるのか把握できない
②負債やローンを見逃していた場合、返済を請求される
③遺言書の財産の記載漏れを防ぐため
財産を相続をした場合、金額によっては相続税の納付義務が発生します。
しっかりと財産調査を行わなければ、後から思いもよらない財産が発覚し、【過少申告加算税】や【無申告加算税】などのペナルティを受ける場合があります。
思いがけない負債やローンが発覚した場合、債権者から返済を請求されます。
それは遺産分割後も同様であり、その場合は相続分に応じた支払いを求められる可能性もあります。
金額がプラスの財産を上回る場合は【財産放棄】を選択することもできますが、【財産放棄】は相続開始(相続人が被相続人が亡くなったことを知った日)から三ヶ月以内に行わなければいけません。
後から相続放棄を行うことができるケースもありますが、早めに調査しておくことが大切です。
遺言書には、相続分の指定や、遺産分割方法の指定、法定相続人以外の方への相続、財産の遺贈・寄付などを指定し、記載することができます。法律で定められた形式に乗っ取って記載されていれば、遺産分割協議よりも優先され、スムーズに相続手続きができるようになります。
これにより、個人の最終意思を遺産処分に反映でき、相続人同士のトラブルが避けられる可能性もあります。
しかし、遺言書に記載されていない財産に関しては、遺言書の効力が及びません。
そのため、法定相続人を確定し、必要に応じて遺産分割協議をすることになります。
それを防ぐためには、遺言者自らしっかりと財産を把握し、状況により見直しを行っていくことが必要になります。
相続財産には、プラスの財産と、マイナスの財産があります。
具体的には下記の表のとおりになります。
プラスの財産 | マイナスの財産 |
現金・預貯金 有価証券・投資信託 自動車 不動産(土地・家屋) 家財 骨董品・芸術品 |
貸付金 売掛金 保証債務 ローン(住宅、学資等) 未払いの税金 医療費・家賃・光熱費 |
相続での財産調査の場合、被相続人(亡くなった方)の自宅で財産の手掛かりとなる書類を探すことになります。通帳やカード・証券、権利書以外にも、郵便物なども手掛かりになります。
金融機関などに問い合わせる場合、被相続人が亡くなっていること、自らが法定相続人であることを証明する書類が必要になるため、事前に以下の書類を揃えておくと良いでしょう。
①被相続人の戸籍謄本除籍謄本(出生から死亡まで) ②被相続人の住民票の除票 ③相続人全員の戸籍謄本 ④相続人全員の印鑑証明書 ⑤相続人の身分証明書(免許証・健康保険証、個人年金番号等) |
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これらの書類は、法定相続人の調査にも必要になります。相続の発生後なるべく早く揃えることによって、その後の手続がスムーズになります。書類を揃えた後、法務局で【法定相続情報一覧図】の交付を申請し、複数枚取得しておくと便利なことがあります。
【法定相続情報一覧図】とは、被相続人(亡くなった方)の相続関係を一覧にしたもので、法定相続人が誰であるのかを法務局の登記官によって証明された書類です。上記の書類の代わりに相続関係を証明できるようになり、複数の書類を提出したり、持ち歩くことがなくなります。発行手数料は無料であり、必要な範囲内で何通でも発行できるため、複数の手続きを同時に行いたい場合は、取得しておくと便利です。
金融機関の通帳や、キャッシュカードを手掛かりに調査することができます。
取引の報告書や通知は郵便物で届く場合もあるため、郵便物の確認も必要になります。
もし見つからない場合でも、電話や窓口で問い合わせることによって、別支店での口座の有無や残高を照会することができます。
預金残高は相続税の申告の基準になります。預貯金残高証明書や、定期預金症、利息計算書などを発行してもらい、正確に把握することが大切です。